こんな人へ
・残業40時間が当たり前の環境で働いている人
・ワークライフバランスに違和感を抱き始めている人
・若手のうちに、どこまで無理をするべきか悩んでいる人
この記事を読むと
残業を「仕方ないもの」と受け入れる前に、
自分はどこまで時間を差し出すのかを考えられるようになります。
実際の残業時間
まず、僕の実際の残業時間を出しておきたい。
直近およそ1年半の平均残業時間は、月40時間前後。
2024年度は月平均43時間。
2025年度も、現時点で平均40時間を超えている。
繁忙期は50時間台に乗った月もある。
落ち着いた月でも30時間台。
特別ブラックな環境ではないと思う。
むしろ、日本の技術職としては“よくある水準”かもしれない。
でも、体感は違う。
20時間を超えたあたりから、疲労の質が変わる。
30時間を超えると、平日の余白はほぼ消える。
40時間を超えると、週末は回復のために使われる。
残業代は線形だ。
1時間増えれば、1時間分の賃金が増える。
でも、負荷は線形ではない。
ある地点を越えたあたりから、
思考は鈍り、判断は荒くなり、
生活は仕事に侵食される。
数字は冷静だ。
身体は正直だ。
その時間は、本当に“投資”なのか。
それとも、ただの“慣れ”なのか。
22時のオフィスで感じる“帰りづらさ”
22時のオフィスは、静かで、少しだけ重い。
キーボードの音だけが、ぽつぽつと響いている。
フロアの照明は落ち、帰った人の席は暗い。
気づけば今日も、10時間以上働いている。
定時はとっくに過ぎた。
でも、不思議と帰ろうとは思わない。
いや、正確には――帰りづらい。
自分より遅くまで残っている人がいる。
上司もまだ席にいる。
チャットはまだ動いている。
誰も何も言わない。
でも、確かにある。
「まだやれるよね?」という、無言の空気。
長くいる=頑張っている。
そんな構造が、どこかにある。
仕事の多くには締め切りがある。
設計にも、レビューにも、量産にも。
そして正直に言えば、
1日8時間では間に合わないこともある。
理想論だけでは回らない現実がある。
納期は信用だ。
「あのチームは遅れる」
そう思われることのダメージは大きい。
だから、間に合わせる。
間に合わせるために、時間を差し出す。
そこに悪意はない。
むしろ、責任感だ。
残業は本当に悪なのか?
残業を一方的に悪だとは思っていない。
若手のうちは、仕事量そのものが経験値になる。
設計の引き出しは量の中で増える。
トラブル対応の勘も、場数がものを言う。
忙しい時期に伸びた実感もある。
追い込まれた中で考え抜いた経験。
期限に間に合わせるために工夫した夜。
あの時間が、今の自分を作っている部分もある。
若手フェーズでは、残業は“武器”にもなり得る。
問題は、どこまでが投資で、どこからが消耗なのかだ。
残業代は線形、負荷は指数的
残業代は分かりやすい。
1時間増えれば1時間分の賃金が増える。
努力と報酬が比例しているように見える。
でも体感は違う。
10時間と40時間は、同じ“4倍”ではない。
20時間を超えたあたりから、
明らかに疲労の質が変わる。
思考が鈍る。
判断が雑になる。
ミスが増える。
家に帰ると、何もする気が起きない。
自己投資の時間は削られる。
運動も減る。
睡眠も浅くなる。
収入は増えているのに、
自由は減っている。
特に年収700万円台から800万円台。
税金や社会保険料が増え、
可処分所得の伸びは想像より小さい。
時間は大きく削られるのに、
手元に残る実感はそれほどでもない。
慣れという最強の麻酔
最初は異常だと思った。
「これ、何歳まで続くのか?」
でも、不思議なことに慣れる。
22時にオフィスにいることも、
週末に仕事を考えることも、
特別ではなくなる。
「みんなやっている」
この言葉は強い。
違和感は少しずつ削られていく。
最初は「おかしい」だったものが、
いつの間にか「仕方ない」に変わる。
そしてやがて
「これが社会人だ」に変わる。
慣れは痛みを和らげる。
でも同時に、感覚も鈍らせる。
“慣れてしまうこと”と
“納得していること”は違う。
僕はどこまで時間を差し出すのか
残業ゼロを目指すつもりはない。
でも、全振りもしない。
僕の中の仮説は、月20時間前後。
そのあたりが、成長と消耗の分岐点ではないかと感じている。
それ以上は、
収入の伸びよりも、削られるものの方が大きい。
時間。
体力。
判断力。
そして、家族との余白。
時間を売る働き方は分かりやすい。
でも、時間を差し出し続ける設計は、
いつか限界にぶつかる。
収入を上げるなら、
時間ではなく、価値で上げたい。
どこまで時間を差し出すのか。
その問いを持ち続けること自体が、
自分を守る行為なのかもしれない。
「会社にどこまで時間を預けるのか」という問いは、
別の記事でも掘り下げている。
今回の話と、きっと地続きだ。



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